TaNaBaTaの進化を感じられる「Unknown Girl」を紹介

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「U.N.オーエンは彼女なのか?」ボーカルアレンジ厳選まとめ Vol.3

「東方紅魔郷」のExtraボス、フランドール・スカーレットのテーマ「U.N.オーエンは彼女なのか?」はその知名度の高さから、多くのアレンジ楽曲が生み出されてきた。数々のアレンジの中から、各種サブスクで聴けるボーカルアレンジを厳選して紹介していくぞ。今回は、TaNaBaTaの「Unknown Girl」を取り上げたい。

Unknown Girl

TaNaBaTaは、歌ってみた界隈で活躍していた、あにー氏が主宰する音楽サークルである。「Unknown Girl」は、あにー氏自らアレンジと作詞を手掛け、歌唱している。この楽曲は、2008年に頒布されたアルバム「セツナライト」にて初めて登場し、TaNaBaTaとして初期の楽曲となる。初期作品でありながら、今でも根強い人気を誇っている楽曲だ。

リリース当時から多くのカバー動画が投稿されており、ニコニコ動画で「歌ってみた動画」ムーブメントが隆盛を誇っていた時代を彷彿とさせる一曲である。「Unknown Girl」には、初出バージョン以外にアコースティックバージョンが存在し、さらに、2015年にセルフアレンジされたバージョンがアルバム「スリーセブン」に収録された。本記事では主にこのバージョンについて紹介していく。

2015年版は、初出バージョンからボーカルやギター演奏などが再録され、歌唱力もさらに向上。別物とも言える仕上がりになっている。アコースティックバージョンの要素も取り入れられたのか、落ちサビから雰囲気が一転し、静かな展開になる。これまでのバージョンの要素を兼ね備えているようにも見えるが、それぞれのバージョンともまた細かく違いがあり、比較して聴くのも一つの楽しみ方だ。

音楽的には、TaNaBaTaらしいギターロックが基調となっており、原曲のフレーズを巧みにアレンジしつつ、あにー氏の音楽性も存分に表現されている。繊細かつ力強い歌唱力、切なさに満ちた情緒的な歌詞、そしてギターロックとアコースティックな要素が融合したサウンドなど、あにー氏の音楽性が全開になった一曲となっている。2015年版では、歌唱力だけでなく、演奏も一段と進化しており、2008年から2015年までのTaNaBaTaとしての進化を感じ取れる作品となっている。独自の感性で東方アレンジを展開し、ボーカルとしての表現力を最大限に活かした「Unknown Girl」は多くのファンから時代を超えて愛され続けているのだ。

「Unknown Girl」は、「U.N.オーエンは彼女なのか?」の男性ボーカルアレンジという点で、一風変わった存在である。だがその新鮮さと独自性が魅力で、一聴する価値がある楽曲と言えるだろう。東方アレンジといえば女性ボーカルという固定観念もあるかもしれないが、未聴の方にはぜひ一度、そのイメージを解き放って聴いていただきたい。あにー氏の優しい歌声は筆者のお気に入りだ。