豚乙女の原点、「狂愛~Kyoai~」を紹介

この記事は約3分で読めます。

「U.N.オーエンは彼女なのか?」ボーカルアレンジ厳選まとめ Vol.12

「U.N.オーエンは彼女なのか?」のボーカルアレンジ特集、第12回目をお届けする。今回は、東方アレンジ界の大御所とも言える豚乙女(Butaotome)の「狂愛~Kyoai~」をご紹介する。豚乙女は、その多彩な音楽活動や個性的なメンバー構成で広く知られている存在だ。

狂愛~Kyoai~

豚乙女は、2009年に結成された日本の音楽ユニットで、東方アレンジ楽曲の他にオリジナル楽曲の分野でも活躍している。メンバーは、ボーカルと作詞を担当するランコ氏、ベースとギターと作曲と編曲を担当するコンプ氏、CDのジャケットやイラストなどのアートワークを担当するランコの姉氏、そして2020年末までピアノと編曲を担当していたパプリカ氏の4人だ。

「狂愛~Kyoai~」は、2010年にリリースされたアルバム「東方回転木馬」に収録されている。古い楽曲とはなるが、「U.N.オーエンは彼女なのか?」のボーカルアレンジ特集としては外せない、未だ色褪せることのない名曲なのでご紹介させていただきたい。この曲は、コンプ氏が編曲と作詞、ランコ氏がボーカルを担当した。原曲には「U.N.オーエンは彼女なのか?」一曲のみを使用する。

先月、弊誌東方アレンジだいすきクラブでご紹介した「東の国のワルツ」と同様に、「狂愛~Kyoai~」にもミュージックビデオが存在する。こちらもランコの姉氏がイラストと動画の制作を手掛けている。この動画はアルバムリリースに先立つ2009年末にニコニコ動画に公開され、話題を呼んだ。これが記念すべき豚乙女の東方アレンジ第一弾となった。2019年に動画が10周年になるにあたり、ランコの姉氏自ら記念絵とともにTwitterを更新するとともに、「個人的には絵とか今見ると驚く拙さですが今も東方やってます。ありがとうございます。」というコメントをし、当時を振り返った。現在のMVのトレンドとは異なるものの動画の品質は高く、当時のニコニコ動画の文化を思い出させるような懐かしい演出になっている。

公式動画だが、YouTube音源には一部音飛びがあるようだ

アルバムのリリース翌年となる2011年に開催された、東方アレンジライブイベント「Flowering Night 2011」では、豚乙女が最初の楽曲として披露するなど、「狂愛~Kyoai~」は、ライブでも度々演奏されているアイコン的楽曲のひとつだ。この曲は、豚乙女らしいロック調にピアノを加えた楽曲で、ランコ氏の迫力のある歌声と独特なリズムは中毒性が高い。中盤一旦の落ち着きから、音階を上げながら終盤にかけて盛り上げていく構成は、リスナーに高揚感を与える見事な演出だ。編曲についても、原曲のメロディラインを多少変形させつつも、素直なアレンジという印象。歌詞や曲名からも、フランドール・スカーレットの狂気をテーマとしたことがわかりやすい。全体的に原作や原曲を大切にした構成となっている。

「狂愛~Kyoai~」は、豚乙女の東方アレンジの中でも特に人気の高い曲のひとつである。豚乙女のファンはもちろん、オーエンアレンジ好きの方には絶対に外せないおすすめの曲だ。ニコニコ動画にアップロードされた動画も、ぜひ視聴してみてほしい。