時代を先取りしていたEastNewSoundの緋色月下、狂咲ノ絶を紹介

この記事は約3分で読めます。

「U.N.オーエンは彼女なのか?」ボーカルアレンジ厳選まとめ Vol.1

この新連載では、「ネクロファンタジア」ボーカルアレンジ厳選まとめと並行して、同じく東方Projectから生まれた人気曲「U.N.オーエンは彼女なのか?」のボーカルアレンジに注目していく。まず第1回目として、EastNewSoundによる「緋色月下、狂咲ノ絶」を紹介していくぞ。

なぜ「U.N.オーエンは彼女なのか?」が愛され続けるのかは、こちらの関連記事で考察している。

「緋色月下、狂咲ノ絶」は、「U.N.オーエンは彼女なのか?」を原曲とする数あるアレンジ曲の中でも、特に評価が高く、知名度も抜群だ。

緋色月下、狂咲ノ絶 -1st Anniversary Remix-

「緋色月下、狂咲ノ絶」は、EastNewSound代表の黒鳥氏によるアレンジで、葉月なの氏が歌唱を務めている。作詞はいずみん氏と葉月なの氏が共同で手がけている。(葉月なの氏は後にnayutaと改名)

黒鳥氏の独自のアレンジと、葉月なの氏独特の歌唱表現によって、曲自体のテーマになっていると思われる、フランドール・スカーレットの世界観を強く象徴している。

初出は2008年のアルバム「Lyrical Crimson」で、その1年後にはイントロに語りが追加されるなどリミックスされたバージョンが1st Anniversary Remixとしてアルバム「Sacred Factor」に収録。その他に2017年verやアルバム「10th Anniversary」に収録されたバージョンなども存在し、どのバージョンも人気が高い。

その後もEastNewSoundは、この曲をはじめとする東方アレンジを続けており、現在ではその名を知らない人はいないと言っても過言ではない。

「緋色月下、狂咲ノ絶」がリリースされた当時、EastNewSoundはまだアレンジサークルとして新入りの位置にいた。しかし、この曲が爆発的なヒットを記録したことで、一躍その名が広まり、東方アレンジ界隈での確固たる地位を築き上げたのだ。

この曲が特に人気を集める理由としては、そのイントロや間奏の語り部分、特に「あはは…殺してあげるっ!」など、語りが強烈なインパクトを持っていることや、テーマとなっているフランドール・スカーレットの心情を見事に描き出している歌詞が挙げられるだろう。独特な恐怖を感じる歌詞ながら、その中には破壊したい衝動と純粋な気持ちとが巧みに織り交ぜられ、サディスティックで異常な快楽を楽しむ一方で、誰かと一緒にいたい、愛したい、しかし接し方がわからない、というフランドール特有の不器用で純粋な子供の面を表現しているかのようである。

さらに、この曲の魅力はその独特の曲調にもあるのだろう。シンセを中心に構成される中毒性の高いサイケデリックトランスが特徴で、一度聴くと忘れられない印象を残す。この曲がリリースされたのはもう15年ほど前となるが、その後の音楽シーンの流行がEDMに移っていったことを考えると、この曲はまさに時代の最先端を行っていた一曲と言えるだろう。音楽性として、古さを感じることがないのだ。

今回の記事では「緋色月下、狂咲ノ絶」を紹介したが、この曲を始め、「U.N.オーエンは彼女なのか?」を原曲とするボーカルアレンジは数多く存在する。この連載では、そんなボーカルアレンジを厳選して紹介していく。読者の皆さまの好きな曲は入っているでしょうか?次回もお楽しみに。