前回の記事では、男女ツインボーカルの東方アレンジ楽曲から厳選して5曲をピックアップしてご紹介した。今回はその続きとして、同じく魅力溢れる5曲をさらに紹介していきたい。今回は男女ツインボーカルの東方アレンジとして外せない名曲を中心にご紹介する。それでは、さっそく後編の楽曲を見ていきましょう!
シアワセうさぎ
男女デュエット
サークル:COOL&CREATE
ボーカル:ビートまりお氏、あまね氏
原曲:お宇佐さまの素い幡、シンデレラケージ ~ Kagome-Kagome
「シアワセうさぎ」は、東方アレンジにおける男女デュエット曲の中でも特に知名度が高い、COOL&CREATEの代表作の一つである。本記事に取り上げるか迷ったほどの定番曲だが、この曲を外して男女ツインボーカルの東方アレンジ楽曲を語ることはできないと判断し、今回の特集でも改めてご紹介したい。読者の皆さまの中にも、この曲をカラオケでデュエットした経験がある方は多いのではないだろうか。曲の構成としては、ツインボーカルというよりはデュエットスタイルとなっており、ビートまりお氏がよく見せるおふざけ的な一面を封印し、いわゆる「綺麗なまりお」とされる歌唱を披露。あまね氏の歌声も歌詞との相性が抜群で、そのハーモニーが多くのリスナーを魅了し続けている。
幻想サマーデイズ
男女デュエット
サークル:COOL&CREATE
ボーカル:ビートまりお氏、あまね氏
原曲:信仰は儚き人間の為に
「幻想サマーデイズ」はCOOL&CREATEのもう一つの代表的なデュエット楽曲で、ビートまりお氏とあまね氏の独特な歌声が交互に展開されるスタイルとなっています。先に紹介した「シアワセうさぎ」とは異なり、よりツインボーカルの手法に近い形で構成されており、交互に歌う箇所が多いため、一人で歌唱することも一応可能になっている。余談ではあるが、これらの楽曲が収録されたベスト盤「とうほう☆あまねりお+ぷらす」には、二人のデュエット楽曲を中心に多数の名曲を収録しており、COOL&CREATEの東方アレンジの歴史の象徴するファン必聴のアルバムとなっている。
00 HEAVEN
女性ボーカル+男性コーラス
サークル:SOUND HOLIC
ボーカル:Nana Takahashi氏、709sec.氏
原曲:幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life
SOUND HOLICが手がけるユーロビートの名曲、「00 HEAVEN」。タイトルは「ダブルオーセブン」をもじった「ダブルオーヘブン」と発音されるところがユニーク。Nana Takahashi氏がメインボーカルを務め、709sec.氏が裏で歌唱するスタイルとなっている。数々のユーロビートを手掛けてきたSOUND HOLICらしい、完成度の高いアレンジと軽快な4つ打ちのビートが特徴。ツインボーカル技法と組み合わされた斬新なサウンドが魅力的だ。
蓬莱哀歌
男女ツインボーカル
サークル:SOUND HOLIC
ボーカル:SYO氏、709sec.氏
原曲:竹取飛翔 〜 Lunatic Princess
引き続きSOUND HOLICの楽曲を取り上げるが、先程の「00 HEAVEN」とは異なり「蓬莱哀歌」は生音系のアプローチで、切ない雰囲気を全編に表現している。709sec.氏の爽やかなボイスと、SYO氏の儚げな歌声の組み合わせによって、人生の儚さ・避けられない別れや死、といったテーマを繊細に描き出している。男性ボーカルが単なるコーラス的な位置づけではなく、主役として存在感を放つこと。これはまさしく、男女ツインボーカルという表現技法の魅力を最大限に引き出しているといえよう。
The World is All my loving
男女ツインボーカル
サークル:SOUND HOLIC
ボーカル:Nana Takahashi氏、709sec.氏
原曲:永夜の報い ~ Imperishable Night、少女綺想曲 ~ Dream Battle
SOUND HOLICは、男女ツインボーカルの楽曲においても多彩なラインナップを持っている。読者の皆さまからもその人気は高く、お気に入りの楽曲についてのコメントも寄せられた。筆者自身、どの楽曲を取り上げるか悩んだのだが、今回「The World is All my loving」もあわせてご紹介しておきたい。この楽曲は生音系でありながらも、ボーカルにボコーダー風のエフェクトやビブラートを強調する特徴的な加工が施されている。この独自のアプローチが男女ツインボーカルの魅力を別の角度から引き立てており、印象的な楽曲となっている。
以上、前編と後編を通して、多彩な10曲の楽曲を皆様にご紹介させていただいた。最後に少し変わり種を一つ。おそらく多くの方がまだ知らないであろう、韓国の同人サークル「Illusion Sonic」の楽曲「Red2012」についてお伝えしたい。男女ツインボーカルに韓国語と英語を組み合わせた、類を見ないユニークな楽曲だ。聴き慣れない韓国語に抵抗感をお持ちの方もいらっしゃるかと思うが、一度耳を傾ければ、そのスピード感と洗練されたサウンドに驚かされることだろう。この機会に、新しい東方アレンジの扉を開いてみるのも一興ではないだろうか。皆様の東方アレンジライフに新たな彩りをもたらせることを願いつつ、この記事締めくくりたい。