ZUN氏とToby Fox氏のコラボ楽曲「U.N. Owen Was Hero?」は一体何がすごいのか?

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2023年8月7日に公開された「東方ダンマク祭」にて、「東方Project」の生みの親であるZUN氏と「UNDERTALE」のクリエイターであるToby Fox氏によるコラボ楽曲「U.N. Owen Was Hero?」が発表された。東方ダンマク祭は、東方Project公認のスマートフォン向けリズムゲーム「東方ダンマクカグラ」の情報を提供するオンライン番組だ。東方ダンマクカグラは2022年10月28日にサービスが終了し、その後の展開が注目されていたのだが、この番組で「東方ダンマクカグラ ファンタジア・ロスト」として復活し、SteamとNintendo Switchで展開されることが発表された。「U.N. Owen Was Hero?」は、無料DLCとして2024年2月8日に提供される予定だ。

「U.N. Owen Was Hero?」は、ZUN氏がUNDERTALEの楽曲「本物のヒーローとの戦い」(Battle Against a True Hero)をアレンジし、Toby Fox氏が東方Projectの楽曲「U.N.オーエンは彼女なのか?」をアレンジし、組み合わせて1つの曲に仕上げたマッシュアップだ。番組内ではToby Fox氏からのメッセージ動画も公開され、その中でこの共作について喜びを表現していた。Toby Fox氏は東方Projectのファンであり、UNDERTALEの制作に当たって影響を受けた作品の一つとして東方Projectを挙げている。「本物のヒーローとの戦い」はZUN氏の楽曲に大きな影響を受けて制作された楽曲で、いわゆる「ZUNペット」を意識した音作りなど、音楽性にも共通点が見られる。

このコラボレーションは、同人ゲーム界の巨匠として名高いZUN氏と、UNDERTALEやDELTARUNEといった作品で著名な存在となったToby Fox氏という二人のアーティストが協力したことで実現したものだ。それぞれの作品で独自の音楽を生み出し、インディーズ界隈で大きな影響力を持っているこの二者が手を組んだこと自体が特筆すべきことだ。ファンにとっては衝撃的な出来事であり、「東方ダンマクカグラ」が存在しなければ実現しなかったことだろう。

さらに、このコラボがすごい理由はもう一つある。Toby Fox氏は自身の楽曲に対する熱心な愛情があり、作中で使用されるテーマやシチュエーションと合わせて、一つの作品として大切にするという考えが強い。そのため、UNDERTALEの楽曲を他の用途で使用することは非常に珍しい。過去には大塚製薬から「ポカリスエット」のCM用に楽曲「夢と希望」(Hopes and Dreams)を使用したいというオファーを受けたことがあるが、この楽曲にはToby Fox氏の個人的な表現やメッセージが込められており、UNDERTALEの作中でも特別な意味を持つ楽曲だったため、この提案は実現しなかった。その代わりに、「Pale Rain」という別の描き下ろし楽曲の制作に参加するという形になった。

このことからも、Toby Fox氏の楽曲をZUN氏がアレンジするということ自体が、いかに特別で意味深いものだったかがうかがえる。このコラボレーションが実現したのは、Toby Fox氏が東方Projectのファンであり、ZUN氏の作品に敬意を表しているからこそであろう。UNDERTALEの楽曲を他のプロジェクトで使用することに慎重なToby Fox氏がこのコラボに賛同した背景には、東方Projectへの強いリスペクトがあったのだ。

「U.N. Owen Was Hero?」は、「東方ダンマクカグラ」が生み出した新しい試みだ。東方ProjectとUNDERTALEのファン層には被っている部分もあるだろうが、この出来事によって新たに東方アレンジへの興味を持つリスナーも出てくることだろう。今後、このコラボが東方Project界隈の盛り上がりに繋がることを期待し、新たな東方アレンジの可能性が広がる未来にも期待したい。一体どのような楽曲になるのか、今から聴くことが楽しみでならない。