Alstroemeria RecordsのNecro Fantasiaを紹介|神曲はBad Apple!!だけではない

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「ネクロファンタジア」ボーカルアレンジ厳選まとめ Vol.7

「ネクロファンタジア」のボーカルアレンジ特集は、第7回目となる。これまでに様々なアレンジを取り上げてきたが、今回はAlstroemeria Recordsの「Necro Fantasia」を紹介したい。多くの東方アレンジファンが「Bad Apple!!」のサークルとしてAlstroemeria Recordsを認識しているが、彼らはその他にも多くの名曲を世に送り出している。「Necro Fantasia」はその中でも特に素晴らしい一曲だ。

Necro Fantasia

Alstroemeria Recordsは、作編曲を担当するMasayoshi Minoshima氏を中心に複数のメンバーで構成される、東方アレンジの制作を中心に活動する音楽サークルである。その高い知名度から、「Bad Apple!!」人気が一人歩きしている傾向があるが、それ以外にも多くの楽曲を製作している。その中でも特に筆者が取り上げたいのが、この「Necro Fantasia」だ。

「Necro Fantasia」は2008年に頒布された「For Your Pieces」に収録されたものが初出で、その後、2011年に頒布されたボーカル曲を集めたベストアルバム「EXSERENSES」や、Alstroemeria Records15周年記念アルバム「Eunomi」にも収録されている。15周年記念アルバムに収録されているバージョンは、それ以前のバージョンとほとんど同一のものであるが、よく聴き比べればドラムパターンが改良されていたり、ボーカルのリバーブ成分が増えるなど、ミックスとマスタリングもやり直されていることが分かる。

この楽曲は美里氏が歌唱、「Bad Apple!!」の作詞を手掛けたHaruka氏が作詞し、Alstroemeria Recordsのその他の楽曲と同様、Masayoshi Minoshima氏がアレンジを担当している。また、同名の楽曲がAlstroemeria Recordsからリリースされていたが、こちらはボーカルが入っていないだけでなく、曲自体が別物である。

「Necro Fantasia」は、静かなピアノから始まり、全体的にしっとりと切ない雰囲気の楽曲に仕上がっている。美里氏のボーカルがまた絶妙であり、楽曲の雰囲気にマッチした声質が曲の世界観を一層引き立てている。音楽的にはダンスミュージックやいわゆるドラムンベースといわれるものに近い雰囲気を持っている。曲のテンポが速く、バスドラムやスネアとベースが強調されており、疾走感のあるテンポと重厚なリズムが特徴になっている。

歌詞については、ゆかりんと幽々子について描かれていると思われ、曲の雰囲気と歌詞の内容も非常にうまく噛み合っている。切ないメロディと共に歌詞の世界観が広がっていくようだ。音楽に耳を傾けつつ歌詞カードを読みながら、歌詞の意味を考察するような聴き方が楽しい楽曲である。

「Necro Fantasia」は美里氏の感情豊かな歌唱と、曲全体の切なさ、そして歌詞の雰囲気が絶妙にマッチした一曲。「Bad Apple!!」ともまた違った、Alstroemeria Recordsらしい魅力が詰まった楽曲だ。まだこの曲を聴いたことがない方は、ぜひこの機会に体験してみてほしい。きっと新たな「ネクロファンタジア」の魅力を発見できるはずだ。