「ネクロファンタジア」ボーカルアレンジ厳選まとめ Vol.2
「ネクロファンタジア」を紹介していく連載企画、二曲目です。今回も、各種サブスクサービスで聴けるアレンジの中から特に優れたアレンジを厳選してご紹介。
ネクロファンタジア
岸田教団&THE明星ロケッツの「ネクロファンタジア」は、彼らの初期の楽曲に共通して、90年~00年代の邦楽ロックシーンの影響を色濃く受けた名曲である。岸田教団の楽曲としてはやや落ち着いたテンポの曲でありながら、ロックの迫力をしっかりと感じさせてくれる。オルガンの演奏を担当するSupply氏による音色は、近年の岸田教団の楽曲とも一味違った魅力を醸し出す。
何度もリアレンジされる中で、幻想事変に収録されたネクロファンタジアが目立つことは無くなってきているのだが、やっぱり初期のネクロファンタジアには格別の魅力があります。この企画ではあえてこのバージョンを選びたい。新しいアレンジにもまた違った魅力があって素晴らしいのだが、この初期のバージョンが一番心に残る、原点にして頂点とも言える気がしてならないのだ。
岸田氏(ベース&ギター)、ichigo氏(ボーカル)、はやぴ~氏(ギター)、みっちゃん氏(ドラム)というメンバー構成は、冒頭で触れたオルガンを除けば、T-tsu氏のサポートも含めて現在まで続く岸田教団&THE明星ロケッツと全く同じ構成。現代の音楽シーンでも活躍する岸田教団の原型はこの頃すでに完成していたのである…
何より、岸田教団のギターは迫力が凄い!音の激しさは控えめなテンポであるにもかかわらず全く失われていない。また、ichigo氏独特の淡々とした歌い方が雰囲気を醸し出しており、リスナーに一度聴いたら忘れられないインパクトを与えている。
良い意味で、初期の演奏の雑さやボーカルの音程のラフさのようなものがインディーズならではの味になっている。後のアルバムで新しく録られた曲と比較すると、その違いがまた面白い。
この初期バージョンのリリース後、ベスト盤で(ベスト盤なんですが)いちから作り直されたり、また更に別のアルバムでMOD、すなわち改造をコンセプトに大きくイメージチェンジしている。これらも大変良いものなのだが、やはりこの初期のネクロファンタジアこそ岸田教団らしさが詰まっていると感じる。ときどき思い出して、この名曲に耳を傾ける時間を持ってみてはいかがだろうか。
ネクロファンタジアの原曲が好きならば必聴の曲であり、初めて聴く人にもおすすめできる一曲である。