東方アレンジを発表している非公式コミュニティ「幻想Storage」から2023年に公開された楽曲の中で、東方アレンジだいすきクラブがおすすめしたい楽曲を、幻想Storageのライブ番組である「幻想Steam」上でご紹介させていただいた。この記事では、放送で語らせていただいた楽曲を改めてご紹介したい。
2023年には、実に136曲もの楽曲が幻想Storageより公開された。放送時間の都合上、紹介できる曲数には限りがあったため、特に印象に残った8曲を厳選してお届けさせていただいた。残念ながら今回取り上げられなかった楽曲にも素晴らしい曲がたくさんあるので、ぜひ幻想StorageのYouTubeチャンネルもご覧いただきたい。
それでは、早速楽曲をご紹介していきたい。
Until death do them part
サークル:おちゃつぼフィルハーモニック管幻楽団
アレンジャー:狐狗狸氏
原曲:メイドと血の懐中時計、月時計 ~ ルナ・ダイアル
「ダイナミクスレンジの広さを楽しむ」というオーケストラの魅力を見事に引き出した楽曲。静と動、抑揚のバランスが絶妙。原曲のフレーズや使い所が巧みに取り入れられており、特に「メイドと血の懐中時計」のサビ部分は感動的だ。「そうだ!ここでこのフレーズが聴きたかった!」と思わず声を上げたくなるほど。オーケストラの荘厳な響きと共に原曲の雰囲気を損なわず、臨場感が存分に表現されている。この曲は、東方オーケストラアレンジの可能性を示しているだろう。
寒空の河童
サークル:ねこしょくどう
アレンジャー:るーぺぺ氏
原曲:芥川龍之介の河童 〜 Candid Friend
いわゆる「ロキノン系」を彷彿とさせるような、軽快で透明感のあるギターサウンドが印象的。ボーカルの歌い方や声質が曲調と見事にマッチしており、時折織り交ぜられるファルセットは、筆者個人的に超好みだ。また、フレーズの活用方法にはオリジナリティがあり、原曲を大切にしつつも全く違った雰囲気を醸し出すことに成功している。「ねこしょくどう」らしい素晴らしい一曲だ。
Let’s hang out !!
サークル:作画法界
アレンジャー:稗田阿樹氏
原曲:U.N.オーエンは彼女なのか?、魔法少女達の百年祭
軽快な4つ打ちと可愛らしい音色が絶妙に組み合わさり、気持ちよく、心地よい。聴いていると、なんだか元気が湧いてこないだろうか?EDM的なシンセサウンドと生音系のギターが絶妙に組み合わさっている。特に途中のギターソロが曲の流れを変え、聴き応えのある展開変化を演出している。リスナーを楽しい世界に連れて行ってくれるような、そんな素敵な一曲だ。
Reimu san is too busy.
サークル:もぱた。
アレンジャー:徒桜氏
原曲:少女綺想曲 ~ Dream Battle
過去の「幻想Steam」でも取り上げられていたが、筆者個人的なお気に入りで今回も外せなかった楽曲。徒桜氏は、キラキラで「kawaii」な雰囲気づくりが上手い。「万年置き傘にご注意を」のアレンジである「Looks」が好きだったので、この曲も同様に心を打つものがあった。Future Bassを主軸にしつつも、J-POPにも通じるようなキャッチーで聴きやすいメロディラインとなっており、リスナーを選ばない魅力的なアレンジだ。
Aster tataricus
サークル:東方弦楽郷
アレンジャー:hama氏
原曲:少女秘封倶楽部
儚げで切ないピアノの旋律が印象的な楽曲。ピアノのみを使用しているにもかかわらず、抑揚や展開がしっかりと作り込まれ、一瞬も物足りなさを感じさせないところが見事だ。ピアノだけでここまで高い完成度を実現するのは本当に素晴らしい。このようなアレンジがもっと増えると良いなと感じさせられるとともに、ピアノ単体でも十分に魅力的な表現ができるということに改めて気付かされた楽曲だ。あと、やっぱり秘封っていいですよね。
Necrosis
サークル:Moonlight Magic
アレンジャー:Artemis氏
原曲:幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life、ネクロファンタジア
一度聴いたら絶対に忘れられない、とにかくインパクトの強い曲という印象だ。いきなり鳴り響く低音から、その後の目まぐるしく変化する展開、曲の雰囲気がガラッと変わるシーンには思わず引き込まれてしまう。ハードサウンドらしい歪んだキックとベースが、楽曲にエッジと力強さを与えている。勢いのままに、様々な曲調を楽しむことができる楽曲だ。
That bitch
サークル:dat file records
アレンジャー:餅屋氏
原曲:ブクレシュティの人形師
Jersey club(ジャージークラブ)というジャンルの楽曲。正直なところ、Jersey clubに関しては筆者自身もまだ理解が浅く、拙い感想とはなってしまうものの、Jersey clubならではのダンサブルで心地よい「三連符のリズム」をうまくアレンジに取り入れつつ、非常に洗練された音作りをしっかりと感じることができる。このジャンルはK-POPで聴いたことがあるものの、国内ではまだあまり耳にしないものだ。餅屋氏のアンテナの高さからは学ぶことが多い。楽曲タイトルの意味はサンプリング音源からとったもので、深い意味はないそうだ(笑)。
蒐秋ハングアウト
アレンジャー:ラムバァト氏
原曲:死体旅行 ~ Be of good cheer!、廃獄ララバイ
最後にご紹介させていただくのはこの楽曲。ものすごく「ハロウィン」しており、2023年に幻想Storageから配信された楽曲の中でも、ひときわ印象に残った楽曲だ。ただ怪しげで恐怖的な曲調にすることだけで「ハロウィン」を表現するのではなく、どこかかわいらしい雰囲気も感じられるのがこの楽曲ならではの良いところ。シーズンは過ぎてしまったが、ぜひ一度聴いていただきたい楽曲だ。
以上が、紹介させていただいた楽曲である。幻想Storage所属サークルによる、多彩なアレンジと楽曲の数々、そしてアレンジャーたちの熱意と才能に心から感謝したい。皆さまも幻想Storageの楽曲を聴いて、お気に入りの楽曲を見つけてただけたら何よりだ。
※東方アレンジだいすきクラブ側の機材トラブルにより、一部聞き取りにくい箇所がありましたため、今回は記事にもまとめさせていただきましたが、ぜひこちらのアーカイブ動画もご覧ください。
【追記】Necrosisのアレンジャー表記を訂正いたしました。誤って曲名を記載しておりましたが、正しくは「Artemis氏」による楽曲となります。申し訳ありませんでした。